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オムニバス後のサステナビリティ報告:報告の前に測定を

EUはCSRDとCSDDDの対象を絞り込み、英国は2027年から上場企業向けの独自基準を定めました。報告義務を負う企業は減った一方で、データを求められる企業は増えています。そして輸送と輸入にかかる炭素コストは、実測値に左右されるようになっています。

THEFOCUS 編集部 · 公開日 · 7 分で読めます

要点

  • オムニバスIにより、CSRDの対象は従業員1,000人超かつ売上高€4億5,000万超のEU企業に限られます。新たに対象となる企業は2027年度について2028年に報告します。
  • CSDDDは2029年7月26日から、従業員5,000人超かつ売上高€15億超の企業に適用されます。移行計画の策定義務はありません。
  • FCAの規則は、英国上場企業に対し、2027年1月1日以降の期間についてコンプライ・オア・エクスプレインの原則でUK SRSに基づく報告を求めています。
  • 小規模なサプライヤーは中小企業向け任意基準を超える要請を断れますが、その基準もエネルギーと排出量のデータを求めています。
  • CBAMと海運のETSのコストにより、実測のエネルギーと輸送のデータは、報告の期限より前に調達上の資産になります。

オムニバスがEUで変えたこと

「オムニバスI」と呼ばれる指令(EU)2026/470は、2026年3月18日に発効しました。これにより、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の対象は、従業員1,000人超かつ純売上高€4億5,000万超のEU企業に絞り込まれました。二つの基準は同時に満たす必要があります。EU域外のグループは、EU域内売上高が€4億5,000万を超え、かつEU域内の子会社または支店が€2億を超える売上を生み出す場合に対象となります。上場中小企業には、もはや報告義務はありません。

スケジュールも変わりました。新たに対象となるEU企業は2027事業年度について2028年に報告し、EU域外の親会社は2028事業年度について2029年に報告します。加盟国は、これらの改正を2027年3月19日までに国内法化しなければなりません。欧州委員会は2026年7月3日、義務的なデータポイントを減らした改訂版の欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を採択し、2027事業年度から適用します。ダブル・マテリアリティは維持され、保証は限定的保証の水準にとどまります。

企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)は現在、従業員5,000人超かつ全世界売上高€15億超のEU企業と、EU域内売上高€15億超のEU域外企業を対象としています。適用は2029年7月26日からで、気候移行計画を策定する義務は削除され、EU共通の民事責任制度もなくなりました。

大半の中堅企業にとって、直接の報告義務はなくなったか、数年先に延びました。しかし、データの要請はなくなっていません。

英国の道筋:UK SRSとFCAのルール

英国政府は2026年2月、英国サステナビリティ開示基準(UK SRS)のS1とS2を公表しました。これはISSB基準を英国として承認した版で、いくつかの相違点があります。その一つが、サステナビリティ開示を財務諸表より遅れて公表することを認める初年度の経過措置がない点です。

2026年9月30日、英国金融行為規制機構(FCA)は上場企業向けの最終規則を公表しました。2027年1月1日以降に開始する会計期間について、コンプライ・オア・エクスプレインの原則のもとでUK SRSに基づく報告を求めるもので、最初の報告は2028年になります。経過措置により、スコープ3排出量の開示には1年、UK SRS S1に基づくより広い開示には2年の猶予が認められます。FCAの規則は上場企業に適用されます。非上場企業に対する要件が設けられる場合は、政府による別の法令を通じてとなります。

EU域内に子会社を持つ英国上場企業は、両方の制度に直面する可能性があります。二つの基準は気候に関する中核部分を共有していますが、マテリアリティの考え方が異なります。UK SRSはISSBの投資家重視の立場に従い、ESRSはダブル・マテリアリティを維持しているからです。一つの実測データセットで両方に対応できますが、別々に推計した二つのデータセットは互いに食い違います。

対象外でも、データは求められる

オムニバスは、バリューチェーン上の小規模な企業を保護しています。従業員1,000人以下の企業は、報告義務を負う顧客からの要請のうち、中小企業向け任意基準(VSME)を超えるものを断ることができます。欧州委員会は2026年7月3日、改訂版ESRSとあわせて、この基準を委任法令として採択しました。

この上限は質問票の範囲を限定するものであり、質問票そのものをなくすものではありません。対象となる顧客は引き続き問い合わせてきますし、任意基準の基本モジュールはエネルギー消費量と温室効果ガス排出量を対象としています。金融機関、保険会社、公共調達は、それぞれ独自の要件を設けています。支出額ベースの推計で回答するサプライヤーが示す数字は、自社の業務が変わっても変わりません。運送会社を切り替えても、建物を断熱しても、空車走行を減らしても、報告上のフットプリントは元のままです。その数字の中に、実測されたものが何もないからです。

これが、推計値の商業上の問題です。サプライヤーを比較する買い手は、改善したサプライヤーと改善していないサプライヤーを見分けることができません。

報告書よりも、実測のエネルギーと物流データが重要な理由

排出量の数字は、多くの企業が公表を義務づけられる前に、コストの入力値になりつつあります。EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)のもとでは、対象品の輸入者は製造施設の検証済みの実排出量を用いるか、デフォルト値に頼るかを選ぶことができ、その選択によって購入する証書の枚数が変わります。2026年の輸入分に対する証書は、2027年2月1日に販売が始まります。英国の制度は2027年1月1日に始まります。EU排出量取引制度(EU ETS)のもとで、海運会社は2027年から報告排出量の100%分の排出枠を償却し、運送会社はそのコストをサーチャージとして転嫁します。

いずれの場合も、実測データを持つ企業には交渉の材料があります。サプライヤーから施設の検証済みデータを得ている輸入者は、それをデフォルト値と比較できます。貨物単位の輸送排出量を把握している荷主は、運送会社のサーチャージを、実際に使われた燃料と距離に照らして検証できます。2023年3月に発行されたISO 14083は、貨物と旅客の輸送チェーンから生じる温室効果ガス排出量を算定し報告するための共通の方法を定めています。そのため、運送会社の数字と荷主自身の記録を同じ基準で比較できます。

報告担当のチームにとって、対象範囲の縮小は負担の軽減です。オペレーションと調達の側から見ると、より有益な読み方は、同じエネルギーと物流のデータが、報告の期限が来るより何年も前から、調達や運賃の交渉を通じて投資を回収するようになったということです。

自社がすでに持つ記録からデータセットを構築する

ベースラインは、アンケートではなく記録から始めます。電力とガスは、拠点別・月別に、入手できる場合はメーターの検針値や30分値から、そうでない場合は請求書から取ります。車両の燃料は、車両ごとの燃料カードの取引記録から取ります。輸送は、重量、出発地、目的地、輸送モード、運送会社を含む貨物の記録から取ります。これらは通常、輸配送管理システムやフォワーダーのポータルに保存されています。包装は、製品ごとの仕様と重量から取ります。CBAM対象品のように炭素価格が付随する購入品については、サプライヤーから施設のデータを得る必要があります。

各明細には、その出典となる文書と取得日を残します。そうすれば、保証業務の提供者、顧客、金融機関が、報告されたどの数字もメーター、請求書、貨物までさかのぼることができます。欠落は一覧にし、推計方法を明記したうえで公然と推計し、実測データが入り次第置き換えます。

データセットを構築するチームは、それによって明らかになる変更、たとえば配送ルートの計画、積載率、運送会社の選定、設備の稼働スケジュール、包装の重量にも取り組むべきです。実測値が動くのはそこだからです。公表する報告書の保証は、独立した提供者が担います。

今後8か月の判断

2026年11月末までに、直近2事業年度について、法人単位とグループ単位で新しいCSRDのしきい値に照らしてグループを検証し、その結果を記録したうえで、どの子会社がバリューチェーンのデータを求められる可能性があるかを書き留めます。

2026年12月までに、英国上場企業は現行の気候関連開示をUK SRS S1とS2に対応づけ、2027年1月1日に開始する期間についてどの経過措置を利用するかを決めておくべきです。

2027年1月までに、エネルギー、燃料カード、貨物の記録を、出典の参照情報を備えた一つの月次データセットにつなげます。最も大きな拠点と輸送ルートから始めます。

2027年2月までに、CBAM対象品の輸入者は、2026年の各輸入申告について施設の検証済みデータか文書化されたデフォルト値を保持し、両方がある場合は比較しておくべきです。

2027年4月までに、主要な運送会社にISO 14083に基づく貨物単位の排出量を求め、自社の貨物記録や排出量サーチャージと突合します。

2027年6月までに、実測データをもとに中小企業向け任意基準の形式で回答を用意し、対象範囲にかかわらず届く顧客、金融機関、入札からの要請に備えます。

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