
化学・素材
原料とエネルギーのコストによって利益が変動する化学・素材メーカーと流通業者向けの支援です。コスト、価格、数量のデータとレポーティングをつなぎます。
当社の視点
化学業界では、1月に合意した価格が3月には合わなくなることがあります。原料、エネルギー、運賃の変動が、契約の価格改定より速いためです。コストを回収するはずの指数連動条項は契約ファイルの中にあり、サーチャージは顧客ごとに個別に合意され、どのグレードが利益を生んでいるように見えるかを決める配賦ルールは、すでに退職した担当者が何年も前に設定したものです。その結果、誰も見直していない取引先で利益が目減りしていきます。当社はERP、契約条件、購入価格、プラントのデータをつなぎ、コスト回収、製品別の利益、製品あたりの排出量を同じ数字から読めるようにします。
市場のシグナル
01
2026年上半期、EU27か国の化学品輸出は72億ユーロ(6.3%)減少し、輸入は56億ユーロ(5.9%)減少しました。設備稼働率は75%で、長期平均を大きく下回ったままでした。
02
EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)は、肥料や水素などの輸入品について、2026年1月1日に本格適用期間に入りました。2026年の輸入分に対応する証書は、2027年2月1日から販売されます。
03
指数連動型の供給契約は通常1か月以上遅れて価格が改定されるため、投入コストが急上昇すると、次の改定までの差額は売り手が負担することになります。
クライアント支援の内容
現在の投入コストに照らした契約価格式
TF-04グロース各契約の価格式、参照指数、改定の遅れ、サーチャージ条件を台帳にまとめ、現在の投入コストと結びつけます。どの契約がコストを回収しきれていないのか、その金額はいくらか、次の改定はいつかがわかります。
配賦ルールを明文化した製品別利益
TF-08財務プラント、エネルギー、間接費の共通コストを、各ルールを文書化したうえで配賦し直します。財務と営業のチームは、ルールを変えたときに製品別、顧客別の利益の順位がどう変わるかを確認できます。
グレード別の原料・エネルギーシナリオ
TF-01戦略原料、エネルギー、運賃の価格シナリオを各グレードの配合と製造ルートに当てはめ、どのグレードがどの価格水準まで利益を保てるのか、プラント間やキャンペーン間で生産を移すと結論がどこで変わるのかを示します。
製品ごとの排出量データ
TF-11サステナビリティエネルギー、燃料、前駆物質のデータをプラント別、製品別に集約し、EUの輸入業者からの内包排出量の照会や、顧客からのカーボンフットプリントの質問票に回答できる記録にまとめます。検証は認定検証機関が担います。
需要と切り分けた流通業者の在庫補充
TF-07オペレーション需要の把握において、流通業者からの注文、流通業者の在庫報告、直接取引の顧客からの注文を区別します。これにより、在庫補充の波を最終需要の変化と読み違えることがなくなり、原材料の購買がそれに引きずられることもなくなります。
適切な顧客に届く製品文書
TF-10リスク仕様書、安全データシート(SDS)とその版を製品ごとに管理し、その製品を購入した顧客と紐づけます。改訂されたシートが必要なすべての顧客に届き、送付の記録も残ります。
今後の変化
肥料と水素の価格に及ぶ炭素コスト
EUのCBAMのもとで、肥料と水素の輸入業者は、2026年中に輸入した製品の内包排出量について、2027年2月から証書を購入します。一方、同じ部門に対するEU排出量取引制度(EU ETS)の無償割当は、2026年に段階的な削減が始まりました。EU向けの輸出企業は製品ごとの排出量を求められるようになり、契約価格には炭素の要素が含まれ始めます。
2027年に始まる英国の国境炭素課金
英国独自の炭素国境調整メカニズムは2027年1月1日に始まり、アルミニウム、セメント、鉄鋼に加えて肥料と水素も対象になります。英国とEUの両方に販売する生産者は、同じ製品について2つの報告制度に対応することになります。
電力多消費産業向けの電力コスト軽減
英国産業競争力スキーム(British Industrial Competitiveness Scheme)は、2027年4月から1万社を超える電力多消費型の製造業者について再生可能エネルギー義務制度(RO)と固定価格買取制度(FIT)の間接コストを、2027年10月からは容量市場のコストを免除し、電気料金を最大25%引き下げます。免除は、対象製品の製造に使われる電力の比率に基づいて拠点ごとに決まるため、製品別の電力使用量が金額に直結する数字になります。
経営課題
01
コストに遅れる価格式
指数連動型の契約は遅れて価格が改定され、サーチャージは顧客ごとに個別に合意されています。各契約の価格式を現在の投入コストと照らし合わせて見る手段がなければ、誰も見直していない取引先で利益が目減りしていきます。
02
配賦ルールに隠れた製品別利益
プラント、エネルギー、間接費の共通コストは、何年も前に決めたルールで配賦されています。そのルールに基づく製品別、顧客別の利益では、赤字のグレードが黒字のグレードと並んで上位に入ることがあります。
03
製品ごとに求められる排出量データ
顧客や輸入業者は製品ごとの排出量を求めるようになりましたが、プラントはエネルギーと燃料を拠点別、月別に測定しています。照会のたびに新しいスプレッドシートが作られ、計算方法もそのつど異なります。
04
注文に振り回される購買
流通業者と直接取引の顧客の注文サイクルが異なると、プラントの生産計画と原材料の購買は受注量に追従します。流通業者の在庫補充から始まった在庫の振れが、需要の変化のように見えてしまいます。
機会の所在
現在の投入コストに照らした契約価格
契約の価格式、参照指数、サーチャージ条件を台帳にまとめ、現在の投入コストと結びつければ、どの契約がコストを回収しきれていないのか、その金額はいくらかがわかります。
配賦ルールを明文化した利益
各ルールを文書化したうえでコスト配賦を組み直せば、財務と営業のチームは、ルールを変えたときに製品別、顧客別の利益の順位がどう変わるかを検証できます。
製品ごとに1つの排出量算定方法
プラントで測定したエネルギーと燃料を、文書化した1つの方法で製品に配分すれば、顧客や輸入業者からのあらゆる照会に同じ数字で回答できます。
アプローチ
当社はまず、閲覧のみの権限で、ERP、契約と価格のファイル、主要な投入物の購入価格の履歴、プラントのエネルギーと生産の記録、配賦ルールを保持しているスプレッドシートを確認します。1つの製品を原材料の購入から顧客への請求までたどり、コスト、価格、数量が手入力されている箇所を記録します。調査結果は優先順位を付けたタスクリストにまとめ、各項目に責任者と検収基準を設定します。クライアントが構築まで希望する場合は、同じチームがデータ連携、利益レポート、契約台帳、排出量記録を構築し、文書化したうえでクライアント自身のアカウントに残します。プロセス安全、危険物の取り扱い、REACHをはじめとする化学物質の登録、プロダクトスチュワードシップ、排出量の検証、税務の助言は、クライアントの専門家とアドバイザーが担い、当社がクライアントに代わって申告や届出を行うことはありません。包装材メーカーと加工業者については、「包装・紙」のページで扱っています。
当社の経験の裏付け
化学・素材分野で匿名化して公開している支援実績はありません。このページでは、当社のアプローチと、価格・利益分析、経営管理レポーティング、データ統合、記録管理の統制といった、他の業界で用いている専門領域をどう適用するかを説明しています。
THEFOCUSとのプロジェクトの始まり方
最初の対話では、お客様の状況を伺います。お役に立てると判断した場合は、より大きなご契約の前に、成果物を定めた範囲限定の診断をご提案します。
この件について相談する01
実務に即した対話
実際にプロジェクトを率いる担当者と45分間お話しいただきます。意思決定の内容、その背後にあるシステム、期限について伺います。
02
範囲を絞った診断
閲覧のみの権限、固定の期間、書面による所見。記録から何がわかるか、それがどれだけのコストにつながっているか、まず何を変えるべきかをお示しします。
03
実行に移せる計画
変更内容、責任者、評価指標、対象外の事項を書面にまとめます。その後は同じチームが構築と測定を担うか、確実に引き継ぎます。
- 責任を担うひとつのチーム
- 診断した担当者が、そのままシステムを構築し、成果を測定します。
- 課題ごとに選ぶパートナー
- 必要な部分には独立系の専門家が加わり、契約はひとつにまとめます。
- ダッシュボードより先に記録を
- 提言の根拠とする前に、注文データ、元帳、ログを突合します。
経営層からよくいただくご質問
化学・素材企業の支援実績はありますか。
この業界で匿名化して公開しているプロジェクトはありません。ご提案書では、業務のうちどの部分を他の業界で手がけた経験があり、どの部分が新しい取り組みになるのかを明記します。
REACH、CLP、CBAMへの対応について助言してもらえますか。
いいえ。化学物質の登録、分類、炭素国境調整への対応に関する判断は貴社の規制対応チームとアドバイザーが、排出量の検証は認定検証機関が担います。当社は、それらのプロセスが依拠する製品、エネルギー、排出量のデータを整理し、各数字を元の記録までたどれるようにします。
エネルギーや原料の価格変動が利益に与える影響をモデル化できますか。
はい。貴社自身のコストと契約のデータから構築する経営管理情報として対応します。モデルには前提条件と配賦ルールを明記し、財務部門が確認・変更できるようにします。これは計画策定のためのツールであり、価格を予測するものではありません。
そのために新しいERPが必要ですか。
通常は必要ありません。ここで述べたギャップの大半は、ERP、契約、スプレッドシートの間にあります。システムの変更が妥当な場合は、その理由と、移行をどのように検証するかを文書にまとめます。
この件について相談する
いくつかの情報をいただくことで、お問い合わせを適切なパートナーにおつなぎできます。「任意」の項目は空欄のままでも構いません。



